「実るほど頭(こうべ)を垂(た)れる稲穂(いなほ)かな」ということわざがある。意味は、「小人物ほど尊大(そんだい)にふるまい、すぐれた人物になればなるほど、謙虚(けんきょ)になるものだ。」ということ。「尊大」は「自分がえらいと思って人を見下すこと」で、要はえらそうな態度を取ることだね。反対に「謙虚」は「素直で自分がえらいとは思わないこと」で、人に対してえらそうな態度を取らないことだ。
稲穂は、実れば実るほど穂先をたれ、頭を下げることからこういうことわざができたらしい。見習いたいものだね。
大じいさまの先生も「人間はえらくなるといばる。中身のないものほど飾りたがる。」とおっしゃっていばることを戒(いまし)められた。
「能ある鷹(たか)は爪を隠す」ともいう。これは「真に優れた才能を持っている人は、日頃はその才能をむやみにひけらかすようなまねはしない」という意味だ。
中身のない人間ほど地位や名誉をほしがり、また、地位や能力が上がると下の人を見下すようになる。人間、えらくなったら終わり。謙虚さがなくなると、自分が常に正しいと思ってしまってそれ以上の成長はない。そして、まわりの人との人間関係もうまくいかなくなってしまう。
どんなに勉強やスポーツが人よりできようが、大人になってどんなに仕事ができて地位が上がろうが、力がつけばつくほど、能力が高くなればなるほど、人に対しては頭を低く、腰を低くしていかなければならないね。まわりの人の意見を受け入れる素直さが大切だ。前に「素直に受け入れる」という話をしたね。
これは頭では分かっていても、なかなか態度で示すことは難しい。お父さんもついついえらそうな態度を取ってしまうことがあるから反省だ。気をつけます・・・
まわりの人に対して、いばってばかりいたら最後には誰からも相手にしてもらえなくなってしまうから気をつけよう。
参考 母さんの「あおいくま」 コロッケ著 (新潮文庫)