お父さんの大事な話

~ 子供に伝えたい!! お父さんの熱い思いをひたすら語るブログです ~

「正社員」と「アルバイト」

たくさんもらえるといいね!

 

 前回「おいしい話」に乗らない、という話をしたけれど、その中で「正社員」と「アルバイト」の給料の差のお話が出てきたね。

 

 令和4年度の大学卒業の初任給(就職して初めてもらう給料)の平均が月額約21万円、高校卒業で約173,000円、アルバイトは時給1,000円で一日8時間働いて、それを一か月(22日間)働いたとして、月額176,000円、同じように時給1,500円なら月額264,000円だ。

 

 これだけ見ると、「なんだ、正社員になるよりアルバイトの方が稼げるのか!」

と思うでしょ?

 

 でも、「正社員」と「アルバイト」では、見た目の数字だけじゃなくていろいろなことが違うんだ。

 

 「アルバイト」のほかにも「パート」や「派遣社員」、「契約社員」などがあって、多少の違いはあるけれど、どれも「正社員」以外のものなので、ここでは「正社員」と「アルバイト」の違いを中心にどこがどう違うのか、基本的なところを見てみよう。

 

1.働く期間(雇用期間)の違い

 正 社 員:期間の定めがなく、定年(60歳とか65歳)まで働くことができるので、     

       雇用(仕事をさせるために人を雇うこと)が安定している。(首になり

       にくい)

 アルバイト:期間が決まっていて、しかも期間が短い。(3か月とか6か月など)

       ただし、更新(引き続き継続して働くこと)できる場合がある。

       期限がきたときに更新されなかったら終了。(首になりやすい)

 

2.働く時間(勤務時間)の違い

 正 社 員:普通は一日8時間、週5日勤務が多い。(会社による)

 アルバイト:自由度が高い・仕事の量や時間を自分で調整しやすい。

 

3.社会保険

 社会保険とは「厚生年金保険」「健康保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」 

 で、65歳になったら年金をもらうための保険や、病気や介護が必要になったときに

 補助を受けるための保険、失業(仕事がなくなったとき)した時などにお金をもらえ

 る保険、仕事中にけがをした時などにお金がもらえる保険だ。

 

 「厚生年金保険」「健康保険」「介護保険」=会社と労働者が半分ずつ負担

 「雇用保険」=会社と労働者が負担(会社の方が多く負担)

 「労災保険」=会社が全額負担

 

 正 社 員:社会保険が適用される。

 アルバイト:社会保険は適用されない。

       ただし、要件を満たせば適用される場合もある。

 

4.福利厚生

 福利厚生とは、社員が働きやすいようにしたり、社員やその家族が豊かな生活を送る

 ことができるために会社が提供してくれるサービスやお金だ。

 

 通勤手当、住宅手当、社宅、家賃補助、育児・介護支援、健康診断費用、社内食堂、 

 レジャー施設・宿泊施設の利用補助、社員旅行、結婚祝い金・災害見舞金など

 

 正 社 員:福利厚生がある(内容は会社による)

 アルバイト:福利厚生がない(会社による)

 

5.給料の違い

 正 社 員:月給制(月ごとに決まって支払われる給料)や年俸制(1年単位で定め

       た給料)で毎月決まった金額が得られるので収入が安定している。

       実績や経験を積むと給料が上がる。(昇給)

       また、ボーナスや退職金がある。

       生涯で得られる収入は約2億5000万円(会社や人による)

 アルバイト:働いた時間の分だけのお金(時給)しかもらえないので収入が安定しな

       い。

       昇給やボーナスはなし。(会社による)

       生涯で得られる収入は約6000万円(会社や人による)

 

6.責任の違い

 正 社 員:責任のある仕事、やりがいのある仕事を任される。

       人事異動(役職が変わる)や転勤がある。責任が重い。

 アルバイト:単純な仕事が多い。責任のある仕事、やりがいのある仕事を任されるこ 

       とが少ない。人事異動や転勤がない。責任が軽い。(会社による)

 

7.社会的信用

 正 社 員:雇用が安定しているので社会的信用があり、銀行等からの借り入れがし

       やすい。

       キャリアアップ・スキルアップしやすい。

       (仕事の知識や技術などの能力がアップしやすい)

 アルバイト:雇用が安定していないので社会的信用が少なく、銀行等からの借り入れ

       がしにくい。キャリアアップ・スキルアップする機会が少ない。

 

ちょっとまとめて表にしてみるね。

 

 

 

正社員

アルバイトなど

働く期間(雇用期間)

(雇用の安定)

長い

(定年退職まで約40年間)

首になりにくい

短い

(数か月単位 更新あり)

首になりやすい

働く時間(勤務時間)

会社ごとに決まっている

(一日8時間 週5日など)

自分で決めやすい

社会保険

あり

(会社が半分負担してくれる)

なし

(要件満たせば自分で加入)

福利厚生

あり

(社宅・家賃補助など会社による)

なし

給料の違い①

(昇給・ボーナス・退職金)

あり

なし

給料の違い②

(生涯収入)

約2億5000万円

(会社や人による)

約6000万円

(会社や人による)

責任の違い

責任のある仕事を任せてもらえる

責任のない仕事が多い

社会的信用

(キャリアの違い)

ある

(キャリアアップ・スキルアップの

 可能性が高い)

ない

(キャリアアップ・スキルアップの

 可能性が低い)

 

 

 どうだろう?分かるかな?

 

 みんなには少し難しいかな?

 お兄ちゃんとお姉ちゃんはもう中学生・高校生だから少しは分かるだろう。

 

 もちろん、ここに書いたことは全部の会社に当てはまるわけじゃないし、会社によって全然違うこともあると思う。

 

 また、ここに書いたことは、表現も含めて正確ではない部分があるかもしれないので、興味を持ったら、自分でより詳しく調べてみてね。

 

 これでわかるように、一口に「働く」といっても、「正社員」と「アルバイト」と全然違うよね。

 

 男性でも女性でも一家の大黒柱として働くのであれば、やはり「正社員」として働く必要があるだろう。また、家計の補助的に働くならアルバイトなどの方が自分の生活スタイルに合わせて働くことができていいかもしれないね。

 

 そして、会社などに勤めることだけが「働く」ということではない。お父さんのように資格を取って事務所を経営したり、自分の技術や知識を生かして会社を興(おこ)して、自分が経営者となって、人を雇って社会のために働くという方法もある。

 

 あなたたちも、これから成長してどんな仕事に就(つ)くか分からないけど、よく考えて自分の「仕事」を選んでほしい。

 

 そして、社会の役に立つ人間になってね!

 

 

 

「おいしい話」に乗らない

政府広報オンラインのホームページより
アルバイトや投資など「簡単に儲かる」というおいしい話に乗らないように!!
下にリンクを貼っておくね

 

 最近、テレビやインターネットのニュースで「闇バイト」という言葉をよく聞くね。

「闇バイト」というのは、SNSやインターネット掲示板で「短期で高収入が得られる」として募集するアルバイトだ。要は、「短い時間でたくさんのお金を稼ぐことができるアルバイト」だ。

 

 誰が募集しているのか、どんな仕事の内容なのかも分からない。「日当15万円以上」(1日働いて15万円もらえる)なんて普通ではあり得ないアルバイト料を提示して人を集めるんだ。そして、その仕事とは、犯罪の手伝いか強盗などの犯罪そのものだ。中には殺人事件まで起こしたものもある。

 

 普通のアルバイトは、今なら時給1,000円~1,500円(1時間働いてもらうお金)くらいかな。時給1,000円として、1日8時間働いたら8,000円、時給1,500円なら12,000円くらい。普通はそんなもんだよ。時給1,000円で一日8時間働いて、それを一か月(22日間)働いたとして、月額176,000円、同じように時給1,500円なら月額264,000円だ。

 

 令和4年度の大学卒業生の正社員の初任給(就職して初めてもらう給料)の平均が月額約21万円、高校卒業生で約173,000円らしい。もちろん会社や地域によって違うけどね。

 

 正社員として一か月働いても17万円~21万円の給料をもらえるくらいなのに、それをたった1日で10万円や20万円も稼げるアルバイトなんてあり得ない。そんなに簡単に儲かる仕事なんてないの。そういう「簡単に儲かるよ!」という仕事は、きっと普通の仕事ではないから絶対にしないように。

 

 友達からの「すごく儲かるアルバイト(仕事)がある」と、誘われても絶対にやっちゃだめだぞ!!

 

 友達に誘われたら断りづらいかもしれないけど、そんな友達は縁を切ってもいいから絶対に断るように!!。

 

「ちょっとくらい大丈夫だよ。」と誘われてその気になって、やってしまったら最後、自分が犯罪者になってしまうかもしれないし、なってしまったら取り返しがつかない。

 

 そして、一度、仲間に入ってしまうと、そこから抜け出そうとしても、自分や家族を脅されたりして簡単には抜けられないんだ。なぜなら、仲間に入るときに身分証明書などを提出させられて、個人情報を握られてしまうからだ。

 

 警察に言おうとしても、「警察に言ったら、殺す」と脅されるし、逃げ場がなくなる。

 

怖いぞ~ ~ ~ ~ !!

 

 あと、アルバイトじゃなくて「投資の話」にも気を付けなくてはいけない。「投資」とは、「利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下すること」だ。ちょっとみんなには難しいかな。

 まあ、とりあえず「他人にお金を預けてお金を増やしてもらう」というくらいの理解でいいと思う。

 

 それが本当なら、いいよね~

 

 しかし、実際は、そんなに簡単にお金が増えるわけがない。そんなに簡単に増えるなら、世の中の人はみんなお金持ちになるよね。でも、残念ながら現実はそうではない。

 

 だから、「100万円を預けてくれたら200万円、300万円に増やして返してあげますよ!」なんて、「おいしい話」には絶対乗らないように!

 

 こういう「おいしい話」に乗って、せっかくコツコツ貯めてきた財産をだまし取られた人が世の中にはたくさんいるんだよ。

 

 そんな簡単に儲かる仕事やアルバイトはないし、そういう投資などの「お金が増える話」などの「おいしい話」には絶対に乗らないようにね!!

 

 まじめにコツコツ働くことが一番大事!

 

 欲しいものがあったら、コツコツ働いてお金をためて買おう!

 

www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp

 

www.kokusen.go.jp

 

gov-online.go.jp

「おしゃれ」と「身だしなみ」

おしゃれもほどほどに・・・

 

 4月からお姉ちゃんは高校1年生、お兄ちゃんは中学2年生になって、だんだんおしゃれにも気を遣うようになってきたかな?

 

 お父さんが見る限りでは、二人ともそこまでおしゃれに興味を持って着飾ってる感じはしないので、それでいいと思ってる。

 

 お父さんもお母さんも、そこまでおしゃれやファッションに興味がある方ではないからその辺は似たのかな。

 

 お父さんは、特にそういうことに興味ないもんね。いつもお母さんが買ってきてくれた服を着てるだけ。

 

 なんで興味ないかって?

 

 だって、着飾ったって今さら福山雅治木村拓哉になれるわけないもんな・・・

 

     ほっといてくれ!!

 

 昔、お父さんはおばあちゃんから、「華美(かび=華やかで美しいこと。華やかすぎて不相応なこと。)はいけない。中身のない者ほど飾りたがる。」と教えられた。

 

 これは、大じいさまが立派な先生から教えてもらったもので、おばあちゃんがその言葉をお父さんたちにも教えてくれたんだ。

 

 男性でも女性でも服装はもちろん、派手な化粧やヘアスタイル、アクセサリーを身に着けている人を時々見かけるけど、お父さんはちっともいいと思わない。

 

 若い女性でも爪の先までいろいろなものを付けて飾ってるけど、料理も洗濯もどうしているんだろう?なんて思っちゃう。余計なお世話だけどね。

 

 お父さんが社会人として働くようになって約30年、仕事でいろいろな人を見てきたけれど、服装だけでなく話す言葉や態度にしても、とにかく着飾って自分を大きく見せようとする人は、確かにあんまり中身がない人だなあ、と感じることが多かった。

 

 「どんなに立派な財布でも中身がなければ意味がない。」ということも教えてもらった。本当にその通りだね。

 

 反対に、服装などにあまりにも気を遣わなさすぎるのもよくない。やっぱり「身だしなみ(=人に不快感を与えないように、言動や服装を整えること。)」は大切だ。あまりにみすぼらしい恰好をしていたら相手に与える印象は良くないからね。見た目の印象はとても大事だ。

 

 けして、華美にならず、そしてまた、みすぼらしくもないバランスの取れた「身だしなみ」を身につけたいものだね。

 

みんな「平等」に「不公平」

ゴルフはとても「不公平」なスポーツだ
でも、それはみんなに「平等」だ

 

 あなたたちも「お兄ちゃんばっかりゲームしてずるい!不公平だ!」とか、食べ物でも「私の方が少なくて不平等だ!」なんてことあるでしょう?

 

 そんな時に「平等・不平等」とか「公平・不公平」という言葉を使うよね。そもそも「平等」とか「公平」って、どういう意味だろう?

 辞書で調べてみると「平等」は「すべて等しいこと。差別のないこと。」(三省堂 国語辞典)、「かたよりや差別がなく、みな等しいこと。また、そのさま。」(デジタル大辞泉 小学館)と書いてある。

 

 「公平」は「どちらにもかたよらないで正しくするようす。」(三省堂 国語辞典)、「すべてのものを同じように扱うこと。判断や処理などが、かたよっていないこと。また、そのさま。」(デジタル大辞泉 小学館)と書いてある。

 

 どちらも似ているようだけどちょっと違うね。

 

 ネットで「平等」と「公平」の違いを調べてみると、例えば、食べ物を配るときに、大人も子供も関係なく2つなら2つ、同じ数を配るのが「平等」で、体の大きさや食べる量の違いを考えて、大人は3つ、子供は1つとするのが「公平」だそうだ。

 

 他にも例えば、働き者の社員と怠け者の社員と給料が同じなのは「平等」だけど「不公平」だよね。この場合は、働き者の社員に高い給料を払って、怠け者の社員には低い給料を払うのが「公平」ということになる。

 

 それぞれの違いを考慮(=ほかのことがらも考えてよく考えること)せずに一律(=差別がなくて同じ様子であること)にするのが「平等」でそれぞれの違いを考慮して、対応するのが「公平」ということになるね。

 

 話はちょっと変わるけど、スポーツにはいろいろな種目があるでしょ?

 

 屋外でするスポーツなら野球やサッカー、ラグビー陸上競技、スキーなどたくさんあるね。屋内でするスポーツだと水泳やバスケットボールにバレーボール、バドミントン、お兄ちゃんがはまっているハンドボールなどいっぱいある。

 

 お父さんは、昔、大学時代にゴルフ部に所属していたんだけど、このゴルフというのが非常に不公平なスポーツなんだ。

 

 どういうことかというと、陸上競技(全部じゃないけど)や水泳は「よーいドン」で一斉にスタートするし、野球やサッカー、バスケットボールやバレーボールは同時に対戦するよね、コートも入れ替わったりして、だいたい公平に試合ができる。

 

 それでも野球なんかはボールを打った瞬間の風向きなどの影響を受けるし、外でやるスポーツは雨や風などの自然の影響を受けるので、多少、不公平なことが起こる。スキーのジャンプなんかもそうだ。飛ぶ瞬間の風向きによって、結果に大きく影響する不公平なスポーツだ。

 

 いろいろなスポーツがある中でも、ゴルフは最も不公平なスポーツと言っていいのではないかとお父さんは思っている。

 

 ゴルフは、プロの4日間で行う試合では約140人前後の選手が前半2日間の予選に出場する。そうすると、一度に全員がプレーできないから、プレーする時間帯がおのずと大きく違ってくる。

 ある選手は、午前中の朝早くスタートして、午前中のうちにプレーが終了するかと思えば、ある選手は、午後からのスタートで夕方にプレーが終了するということもある。

 つまり、午前中の選手がプレーを終了するころに、スタートする選手がいるということだ。アマチュアの場合でも大きな試合は同じだ。

 

 これでわかると思うけど、一日中、同じような天気ならいいけれど、日によって午前中はすごく天気が良くて、午後からは雨風が吹いてプレーがしづらい状況になることがある。またその逆もある。

 天気が良い時にプレーできた選手は良いスコアが出るけど、悪天候下でプレーした選手のスコアは伸びない。そして、その差を埋めるハンディのようなものはないからものすごく不公平なんだ。

 

 しかし、よく考えてみてほしい。ある一つの試合ではA選手が運よく天気に恵まれ、B選手は悪天候で運が悪く不公平な状況だったとしても、次の試合の時にはその逆になってB選手が天気に恵まれ、A選手が悪天候になることもある。つまり、選手みんなに「不公平」が「平等」与えられているということだ。

 

 お父さんの言っている意味が分かるかな?

 

 これを我々の人生に当てはめてみると、日本に生まれるか外国に生まれるか、男性で生まれるか女性で生まれるか、お金持ちの家に生まれるか貧乏な家に生まれるかわからない。

 兄弟姉妹の何番目に生まれてくるかもわからないし、健康で生まれてくる子もいればなにがしかの病気をもって生まれてくる子もいる。顔だちも男性女性に限らず、美しく生まれてくるかそうでないか・・・

 非常に不公平なように思うけど、その「不公平」はみんなに「平等」に与えられているということだ。

 

 与えられた環境に不平不満を言ったって仕方がないし、良くなるわけでもない。

 

 だから、それぞれの生まれた環境を素直に受け入れて努力していくしかない。人事を尽くして天命を待つ(=やれることはやりつくしたのだから、あとはもう天の命令を待つのみだということ。)」残酷なようだけどそれしかないんだな。

 

 どんな境遇に生まれようとも、それを受け入れて一生懸命に力強く生きていきたいものだ。

 

 あなたたちも人と比べてあれこれ不平不満を言うのではなく、自分の置かれた立場や環境を受け入れて、精一杯努力してほしい。

 

 そして、幸せな環境に生まれた人は、その環境に甘んじて「自分さえ良ければいい」と考えるのではなくて、不幸な環境に生まれた人に手を差し伸べて、生まれたときの環境の不公平さを少しでも公平になるように、お互いに助け合っていかなければならないね。

 

 お父さんはそう思う。

 

 

「公」(おおやけ)と「私」(わたくし)

「仕事」と「プライベート」
「公」と「私」
しっかり区別をつけないとね

 

前回、がん細胞を例に全体と個人の関係についてお話ししたね。

今回もそれについてもう少しお話ししよう。

 

 「公(おおやけ)」というのは、簡単に言うと「全体」のことだ。「公」の意味を調べてみると、いくつか書いてあるが、ここでは「個人の立場を離れて全体にかかわること。社会。公共。世間。」(デジタル大辞泉)という意味で使うね。

 

 それに対して「私(わたくし)」というのは、「個人」のことだ。これも調べるといくつか意味があるけど、ここでは「自分一人に関係あること。個人的なこと。」(デジタル大辞泉)という意味で使うことにする。

 

 我々人間は、一人で生きているわけじゃない。必ず誰かのお世話になって生きている。「いやいや、オレは一人暮らしだし、誰のお世話にもなっていない」という人がいるかもしれないけど、よく考えてみてほしい。

 

 住んでいるお家は誰が建ててくれたのか、電気やガス、水は誰が供給(きょうきゅう=ものを与えること)してくれるのか。食べ物を食べようと思えばどこかで買ってこなければならない。その食べ物を販売してくれる人、材料を作る人、料理する人、運ぶ人・・・食べ物を食べるだけでもいろいろな人がかかわっている。

 

 他にも道路や橋を作る人、病気になったら病院にも行くし、急な病気の時は救急車に来てもらわなければならないし、火事になれば消防車で火を消してもらわなければならない。犯罪を起こす人がいたら、みんな安心して暮らせないから警察に犯人を捕まえてもらわなければならない。

 

 他にも例を挙げたらきりがない。社会というのは人の集まりで、みんないろいろな仕事をして、お互いに助け合って生きているんだ。けして、自分一人の力だけで生きているわけじゃない。

 

 こうした社会の中で、「公」のことを考えずに「私」を優先して他人に迷惑をかけるようなことはしてはいけない。

 

 家族の中でも同じだよ。お父さんやお母さん、あなたたち子供がいて、それぞれの役割がある。みんなが自分のこと(私)を優先してバラバラなことをしていたら、家族(公)が崩壊(ほうかい=壊れてしまう)してしまう。家族仲良く、お互い助け合っていかなければならない。

 

 しかし、最近は、この「公」と「私」の区別がなくて、「私」を優先する人の方が多い気がする。「個人主義」=(個人を尊重して大事にする考え方)を優先しすぎて、大切な「公」のことを忘れがちな人が多いと思う。

 

 昔から、「滅私奉公(めっしほうこう)」という言葉がある。今では死語(しご=現在使われなくなった言葉)みたいなもんだけどね。

 

「滅私奉公」は、「私利私欲を捨てて、主人や公のために忠誠を尽くすこと。」(三省堂 新明解四字熟語辞典)、「私心や私欲を捨てて国や社会など公のために尽くすこと」(学研 四字熟語辞典)という意味だ。

 

 まあ、「今の時代、何言ってるの?」という人がほとんどだろうけどね。

お父さんは大事なことだと思っている。

 

 「私」を捨てて、自分以外の家族のため、会社や地域のため、国のために働くことは尊いことだと思う。もちろんプライベートも大事だけど、優先する順番やタイミングがあるということだ。

 

 あなたたちは、しっかりと「公」と「私」の区別がつく人間になってほしい。そして、社会の役に立つ人間になってほしい。

 

お父さんも、そうありたいと思って日々頑張っているよ。

 

わがまま(利己主義)はがん細胞と同じ

桜は日本人の心
和を以て貴しとなす
本来、日本人はわがままじゃないはずなんだけどな・・・

 

 人間って、いくつぐらいの細胞の数からできていると思う?

体重60㎏で約60兆個だって!!(最近の説では37兆個という説もあるらしい)

いずれにせよ人間は、ものすごくたくさんの数の細胞でできているってことだ。(そう考えたら100兆円を超える国家予算ってすごい金額だな・・・)

 

 そして、そのものすごい数の細胞が集まって、心臓、肝臓、腎臓、胃、腸、脳や肺などの器官を作り、それぞれの器官が役割を果たして、全体的にうまく調和して我々人間は活動できるってことだ。

 

 心臓の働きを見てみよう。心臓は何も意識しなくても毎日大量の血液を体中に運んでくれる。いったいどれくらいの量の血液を運んでくれるかというと、心臓が1回ドクンとなると約80㏄の血液が送り出させるらしい。それが1分間に約70回、1日に約8000リットルという想像もつかないような大量の血液を自分の知らないうちに体中に送り出してくれているということだ。

 ちなみに、8000リットルというのは、ふつうのおうちのお風呂の約30杯分、一生分だと20万トンのタンカーを一杯にするくらいの量なんだって!(インターネット 心不全の基礎知識 日経BPスペシャル)

 

 心臓だけではなく、目でものを見て、耳で音を聞いて、鼻で匂いをかいで、舌で味を味わう。食べたものを胃や腸で消化し、ウンチやおしっこにしていらないものを体の外に出す。髪の毛や爪も自然に生えてくる。

(お父さんはだいぶん薄くなってきたけどな…ほっといてくれ)

 

 人間の体は本当によくできている。不思議と驚きがいっぱいだ!

 自然の力ってすごいね!

 

 そして、皆それぞれもくもくとその役割を果たして、体全体の調和がとれて健康でいられるわけだ。

 

 それがもし、ある日突然みんなわがままを言いだして、心臓が「オレは、今日疲れたから休みたいな~たまには爪になりたい!」とか、髪の毛が急に「なんか、ただちょっとずつ伸びるのつまんねーし、それに毎日ドライヤーあてられて熱いし、オレはやっぱり胃になりたい!」とか言い出したら体の調和が保てないだろ?

 最悪なのはがん細胞だ。こいつは自分の増殖(ぞうしょく=増えること)しか考えない利己主義(りこしゅぎ=自分だけの利益をはかること)で、最高にわがままな奴だ。他のことなんかどうでもいい。ただただ、自分のことだけを考えて増え続ける厄介(やっかい)な奴だ。

 そして、増え続けた結果どうなるかというと、体全体の機能が停止し人間は死んでしまう。結果、その体が死んでなくなるということは、自分のことだけを考えて増え続けたがん細胞も死んでしまうということだ!

 

 自分のことだけを考えてわがままなことをしていると、全体がおかしくなり、結局、自分も死んでしまうことになる。それが「がん細胞増殖」の結末だ。

 

 これは、人間世界でもいっしょ。自分ひとりで生きているわけではない。家族や地域や国があって、その中で我々は生きている。一人一人のわがままが、家族を壊し地域や社会を壊し、国家を滅ぼす。世界が滅びる時が来るかもしれない。

 

 今、ロシアがウクライナを侵略している。国単位の世界でも同じだよ。わがままな国があれば世界が滅びることになる。

 

 家族、学校、会社、地域、国家・・・小さな組織から大きな組織までいろいろな組織があるけれどどれも一緒だ。人と人の関係も国と国の関係も同じ。

 

 今は、個人主義と言って個人が尊重(そんちょう=大事にされる)される時代だけど、何でも自由にわがまま放題やっていいわけではない。それをはき違えてわがままな人間(利己主義な人間)が増えると、がん細胞と一緒で最後はその組織全体がおかしくなり、自分も困ることになる。

 

 自分(個人)は、全体(国・地域・家族)の中の一部だ。体と一緒で、全体の中で自分の役割を果たし、全体の調和を保つ中で、自分の存在価値が発揮されるんだよ。常に全体と自分の関係を考えながらわがままにならないようにしなければならない。

 

 全体との関係なしに自分は存在しない。全体との関係を切り離して自分のことだけを考えても物事はうまくいかないんだ。全体の中で、どうすれば自分の役割を果たすことができるか、お互いに足らないところを補い合って助け合うことができるかが大事だ。それが、全体を良くし、結果、自分も生かされて輝くことになるんだよ。

 

 わがままはいけない。個人主義をはき違えて自由を振りかざし、他人のことや全体のことを考えないで振る舞う人間はがん細胞と同じだ。そういう人間が増えたら社会はおかしくなるし、国もつぶれる。国がつぶれたら我々個人の幸せもない。

 

 あなたたちはそんな人間にならないで、人の役に立つ、社会の役に立つ、国の役に立つ人間になってね!

 

「自分のために」ではなく「誰かのために」

まずは身近な人のために・・・

 

 一昨年、東京オリンピックがあったね、そして、昨年は北京オリンピックがあった。選手が、それまで一生懸命努力してきた成果を発揮するために精一杯の力を出し切って戦う姿は美しい。結果、運・不運があったりして勝つことも負けることもあるけど、それもまたすがすがしいものだ。

 

 スポーツに限らず勉強でも仕事でもなんでもそうだけど、お父さんの経験からいうと、人は「自分のために」頑張るのは限界があって、「誰かのために」と思うと限界なく頑張ることができる、と思ってる。

 

 「限界がない」というとちょっと大げさかもしれないけど、少なくとも「自分のために」の場合に比べて大きな違いがあるとお父さんは感じている。

 

 「自分のために」は、自分が基準になるから、自分で「あ~、もうしんどいし、これでやめよ」とか「まあ、ここまでやれたらそこそこ満足だし、もういいや」ってなっちゃうとそれで終わり。

 

 しかし、これが「誰かのため」、要は自分以外の人のためとなると、「その人を喜ばせたい」「その人の役に立ちたい」「その人を満足させたい」といって、「その人(誰か)」が基準になるから、それを達成するまでどれだけでも頑張ることができる。もちろん、臨んだ結果を達成できないこともあるだろうけど、それは仕方がない。

 

 そして、人間っていうのはその「誰か」を喜ばせることによって、自分の存在価値(を認識し)が高まり、誇りをもって前を向いて生きていけるようにできていると思う。

 

 「自分」のことだけ考えて「自分」の満足だけを考えて生きていても、充実感や達成感、生きている喜びや誇りが湧いてくるものではなく、「誰かのために」生きて初めて湧いてくるものだと思う。

 

 言い方を変えれば、自分が「誰かに必要とされる」ことによって、自分の生きる喜びや誇り、充実感が得られるということだ。

 

 さらに言えば、「誰か」ではなくもっと大きな「地域」や「国」、そして「世界」とその対象が大きければより素晴らしいし、自分が想像する以上の力が発揮できるだろう。

 

 なかなか「世界」となるとピンとこないし、お父さんもそこまではできないけれど、少なくても自分の仕事を通じて、「地域」や「国」のために役に立つことができるようにと思って毎日仕事に励んでいるよ。

 

 お父さんの仕事は、目の前にいる依頼者の希望にそった解決ができ、その人が喜んでくれることはもちろん、その解決がその依頼者のみならず、地域の人のためになることは良くあることなんだよ。

 

 そういう仕事は大変だし苦労も多いけど、「依頼者のために、地域のためになんとかしなきゃいけない」と思うと、自然に力が湧いてくる。これが自分のためだと思ったら、きっと途中で投げ出しちゃうね。

 

 人によっては、「自分の楽しみを追求するだけで十分満足だぜ!」という人もいるかもしれない。しかし、歳を取って人生を振り返った時に本当にそう言えるのか疑問だ。きっと最後は淋しい人生の終わり方になるような気がする・・・

 

 あなたたちも、「自分のために」ではなく、まずは「誰かのために」ということを考えて行動してほしい。そして、ぜひ「地域」や「国」のために生きてほしいと思う。そうすれば自然に、思いもかけないいろいろなことが自分にプラスになって帰ってくるよ!